書籍

MIRO ITO著『隠し身のしるし Signs of the Intangible』(2023年1月30日発刊)
能「敦盛」シテ方観世流能楽師 武田文志(Photo by Mito Ito)

写真集『隠し身のしるし Signs of the Intangible日本の1400年の心体景観』by MIRO ITO

「隠し身」とは「隠身(かくりみ)」のことだ。見えないカミのことである。
生身の身体に「隠身」が宿るとするならば、そのための変身・変容が必要となる。能の「翁」を代表とする、仮面芸能に「隠身」の宿りが見られるように、変身のために芸能が生まれ、その表現として踊りが始まった。(本書「まえがき」より)

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撮影者であるフォトアーティストのMIRO ITO(伊藤みろ)は、長年の間、身体による変身や変容を求めて、「隠し身のしるし」を探り、国宝や重要文化財の仏像や尊像を含む、祈りと奉納の景観、光明の身体表現を撮り続けてきました。

日本文化の伝統の中で「心体景観」と向き合ってきましたが、その景観とは、心と体を別のものとして切り離すのではなく、”心とは体の次元であり、体とは心の次元である”として捉える「身心一如」が作る禅的な風景といえるでしょう。

同時に、日本の芸能の歴史やシルクロード由来の系譜とも向き合ってきました。例えば、1400年前に伝来し、日本にだけ遺されたユーラシア最古の仮面芸能・伎楽の面、アジアのさまざまな王朝芸能を集大し、他の国では途絶えてしまった舞楽や舞楽面をはじめ、中世に大成した能楽、古武道、そして現代の前衛舞踏に至るまで、魂の”不滅の光”を身体文化において見出し、見えない霊性を写真表現や映像作品に託してきました。

ドイツ、アメリカ、日本、という三つの国を経てきた、著者の“身体宇宙への旅”の一端を伝える本書は、世界巡回展「隠し身のしるし Signs of the Intangibleの図録を兼ね、自身の写真遍歴を綴った書き下ろしエッセイ・芸術論を収録する写真集です。

「2006年ヴェネチア・ビエンナーレ(ダンス部門)」の公式イメージとなった、舞踏家・室伏鴻との共作「Quick Silver(水銀)」をはじめ、新作や未発表作品を加えた合計 85 点(およびエッセイ文中 21 点)を網羅する、珠玉のポートフォリオです。

本書は、シルクロードの東西交流史の光芒とつながる、1400年にわたる日本の身体表現の深層へと誘います。その先には、精神という地平から、一つの「心体景観」が見えてきます。

その心身が一体となった景観は、仏教や神道、祖霊信仰の混ざり合った、祈りと 奉納、懺悔とが行き交う、日本人の死生観や救済への願い、美と聖なるものへの 根底への考え方と深く関わっているのです。

写真集『隠し身のしるし Signs of the Intangible』(by Miro Ito) 2023年1月30日発刊(表紙写真:能「絵馬」シテ方観世流能楽師 武田友志)
2006 年ヴェネチアビエンナーレダンス部門公式ポスター(舞踏家 室伏鴻 Photo by Miro Ito)

写真集『隠し身のし Signs of the Intangible日本の1400年の心体景観』協力者リスト

撮影・文| Miro Ito (伊藤みろ)
企画制作・発行| メディアアートリーグ (2023年1月30日発刊)
編集| 本物の日本遺産イニシアティブ
英語編集| Andreas Boettcher
寄稿文| 森山明子(武蔵野美術大学デザイン情報学科教授)
装丁 | 齋藤知恵子(sacco)
写真集仕様| A4変形・並製本・オールカラー・写真85点(+エッセイ文中21点)・全152頁)
オンデマンド印刷版/定価[本体10,000円+税] ISBN978-4-9912957-0-6 C0072
東大寺宝物 | 伎楽面(酔胡王・酔胡従[3種類]・崑崙・迦楼羅・力士・治道・太孤父、重要文化財/8世紀)、 舞楽面(陵王/13世紀、重要文化財)
春日大社宝物 | 舞楽面(散手・崑崙八仙・地久・新鳥蘇・納曽利/12世紀、貴徳鯉口/16世紀、重要文化財)
協力演者 | 金春穂高(シテ方金春流能楽師)
武田志房、武田友志、武田文志(シテ方観世流能楽師)
室伏鴻、滑川五郎、山口タマラ、玉野黄市(舞踏家)
KiK_7、蹄ギガ、上田創、ゴールデン鈴木、スワン王子、KYOMU、Propaganda、石蹴鐘(SAL VANILLA、舞踏カンパニー)
春双(現代舞踊家・バレエダンサー)

※写真集の売り上げは、書籍・映像作品・展覧会の制作と発表、国内外の美術館や教育・研究機関、国際メディアとの協働のために、役立てていきます。