写真展「隠し身のしるし Signs of the Intangible」(カナダ日系文化会館、トロント)

世界巡回展「隠し身のしるし Signs of the Intangible日本の1400年の心体景観(By Miro Ito)

撮影者であるアーティストMIRO ITO (伊藤みろ) は、日本文化の1400年の伝統の中で「心体景観」と向き合ってきました。心と体を別のものとして切り離すのではなく、禅師・白隠に倣う “心とは体の次元であり、体とは心の次元である”として捉える「身心一如(しんじんいちにょ)」 が作る禅的な風景といえるでしょう。

その景観には、ユーラシアの東西交流の物語とともに、日本の祈りと奉納、神々との和楽や、仏教による懺悔と救済への願いが幾重にも交差・共存しています。

その歴史を独自の視点で紹介すべく、1400 年以上前に伝来した伎楽面と舞楽面に始まり、中世以来 600 年の時を隔てた能楽と前衛舞踏対比させると同時に、武道とも重なり合って現代に至る、心体文化の伝統を、世界に向けた写真展・講演・映像上映シリーズ「隠し身のしるし」として発表しています。

 

1400年の伝統が息づく 日本の芸能における花(華)

同展覧会は、シルクロードの東西交流史の光芒とつながる、1400 年にわたる日本の身体表現の深層へと誘います。例えば、1400 年前に伝来し、日本にだけ遺されたユーラシア最古の仮面芸能・伎楽の面、アジアのさまざまな王朝芸能を集大成し、他の国では途絶えてしまった舞楽や舞楽面をはじめ、中世に演劇として大成した能楽、古武道、そして現代の前衛舞踏、モダンダンスに至るまで、魂の“不滅の光”が、新旧の身体文化において独自の花(華)を咲かせています。

2006 年「ヴェネチア・ビエンナーレ(ダンス部門)」の公式イメージとなった、舞踏家・室伏鴻との共作「Quick Silver(水銀)」をはじめ、ドイツ、アメリカ、日本、という三つの国を経てきた、撮影者の“身体宇宙への旅”の一端を伝えます。

2007 NY Butoh Festival 公式イメージとなった室伏鴻「Quick Silver」(Photo by Miro Ito)

トロントとシカゴで巡回展示

1400 年におよぶ日本の心体景観を象徴的に伝える、北米への巡回展は、2018 年、日本とカナダの外交関係樹立 90 周年を記念して、カナタ・トロントの日系文化会館(JCCC) で開催されました。

続いて同年に、在シカゴ日本国総領事館の招待により、同日本広報文化センターで開催され、シカゴのノースウェスタン大学アジア学部で講義も行いました。

 

NY公共舞台芸術図書館の個展「Men at Dance」に伎楽面・舞楽面を補完し、芸能の起源に迫る

展覧会「隠し身のしるし」の出発点は、2007 年の「ニューヨーク舞踏フェスティバル」への招待展として、ニューヨーク公共舞台芸術図書館 (リンカーンセンター) で、開催した個展「Men at Dance ̶ from Noh to Butoh (能から舞踏へ)」でした。

55点の展示作品は、同図書館の永久コレクションに寄贈しましたが、その10 年後に同展を「隠し身のしるし Signs of the Intangible」として再構成したものです。

2010年の平城遷都1300年記念事業(奈良県)で発表した映像作品、および東大寺伎楽面と春日大社舞楽面の写真作品を加えて、2018年に北米巡回展が始まりました。

MIRO ITO著『隠し身のしるし Signs of the Intangible』(2023年1月30日発刊)

写真集『隠し身のしるし  Signs of the Intangible発刊

2023年1月には、図録を兼ね、未発表の作品や新作を加えた同名の写真集『隠し身のしるし Signs of the Intangible』も発刊となりました。今後、カナダ・モントリオール市、ギリシャ・ アテネ市、ブラジル・リオ・デ・ジャネイ市、メキシコ・メキシコシティ市などの諸都市への巡回を企図しています。

「隠し身のしるし」展が、展覧会および写真集を通じて、これからも世界の多くの国々で発表する機会を得ることで、日本文化の深層に横たわる東西交流の証と、“光明への道”をも求めた長きにわたる日本の芸能の歴史への興味を抱いてもらえれば、本望です。

身体がひらく未知の可能性の地平へと、目を向けるヒントになることを願う次第です。

2006 年ヴェネチアビエンナーレダンス部門公式ポスター(舞踏家 室伏鴻 Photo by Miro Ito)

展示作品(重要文化財 東大寺伎楽面・春日大社舞楽面)・協力演者

撮影協力 | 東大寺、春日大社、奈良国立博物館、世田谷山観音寺、イイノメディアプロ

東大寺宝物 | 伎楽面(酔胡王・酔胡従[3種類]・崑崙・迦楼羅・力士・治道・太孤父、重要文化財/8世紀)、舞楽面(陵王/13世紀、重要文化財)

春日大社宝物 | 舞楽面(散手・崑崙八仙・地久・新鳥蘇・納曽利/12世紀、貴徳鯉口/16世紀、重要文化財)

協力演者 | 金春穂高(シテ方金春流能楽師)

武田志房・武田友志・武田文志(シテ方観世流能楽師)

室伏鴻、滑川五郎、山口タマラ、玉野黄市(舞踏家)

KiK_7、蹄ギガ、上田創、石蹴鐘、ゴールデン鈴木、スワン王子、KYOMU、Propaganda (SAL VANILLA、舞踏カンパニー)

春双(現代舞踊家・バレエダンサー)

「Signs of the Intangible」ノースウェスタン大学アジア言語文化学部での講義用フライヤー
NY公共舞台芸術図書館での個展「Men at Dance — from Noh to Butoh by Miro Ito」の招待状

展覧会・講演会・映像上映

「隠し身のしるし(Signs of the Intangible)の発表実績(2018)

共催:メディアアートリーグ+日本カメラ財団、カナダ日系文化会館(JCCC)、在シカゴ日本国総領事館

後援:在トロント日本国総領事館、日本ユネスコ協会連盟、奈良県ビジターズビューロー

開催地と事業期間:カナダ日系文化会館(2018年5月15日〜6月27日)・在シカゴ日本国総領事館広報文化センター(2018年11月15日〜28日)

特別講演

主催:ノースウエスタン大学アジア言語・文化学部

開催地と開催日:ノースウエスタン大学(2018年11月16日)

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関連展覧会「祈りと奉納のシルクロード」

(平城遷都1300年記念事業およびCanon Expo 2010)

主催:平城遷都1300年記念事業協会「祈りの回廊」・奈良県(写真展)および キヤノングループ(Canon EXPO)

開催地 (映像上映):奈良県立公会堂 (現・奈良国際春日野フォーラム) 2010年12月23日

開催地 (Canon EXPO):高輪プリンスホテル(2010年11月10日〜12日)

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■ 関連展覧会「Men at Dance ̶ from Noh to Butoh (能から舞踏へ)」

(2007 NY Butoh Festivalタイアップ展)

主催:The New York Public Library for the Performing Arts

後援:在ニューヨーク日本国総領事館、奈良市観光協会

助成:国際交流基金ニューヨーク事務所(JFK Fund)

開催地と事業期間:NY公共舞台芸術図書館(リンカーンセンター、2007年10月15日〜2008年1月5日)

「2019年 奈良シルクロードシンポジウム」パネリストとして参加(映像作品「伎楽 仮面の道」を上映 by Miro Ito))

映像作品 (映像の上映または会場でのインスタレーション)

ショートムービー I「伎楽 仮面の道」(7分半)

写真と文:伊藤みろ+メディアアートリーグ

出演:東大寺伎楽面(重要文化財)および楽劇 真伎楽 (五世野村万之丞およびEthnos)

音楽:芝祐靖(言語:日本語・英語字幕)

 

ショートムービー II 「春日大社の舞楽 春日若宮おん祭りの舞楽」(11分)

写真・動画と文:伊藤みろ+メディアアートリーグ 

出演:南都楽所(言語:日本語)

主な関連講義・講演・映像上映
【主な関連講義・講演・映像上映】

—「春日大社・平安の正倉院〜シルクロードの秘宝」講演 (2021年2月10日〜17日)

—「奈良シルクロードシンポジウム2019平城宮跡記念公園・平城宮いざない館パネリストとして参加、奈良、主催:文化庁・国土交通省・奈良県、2019.10.19

—「正倉院展を前に:ヘレニズム文化と奈良奈良まほろば館での講演&ショートムービー上映(東京、2019.10.13

「Signs of the Intangible」ノースウエスタン大学アジア言語・文化学部ハリスホールでの講演&ショートムービー上映・伎楽バレエ公演プロデュース(シカゴ、2018.11.16)

—「Artist Talk」在シカゴ日本国総領事館での「隠し身のしるし」展での講演&ショートムービー上映・伎楽バレエ公演プロデュース(シカゴ、2018.11.15

—「Artist Talk」カナダ日系文化会館での「隠し身のしるし」展での講演&ショートムービー上映・伎楽バレエ公演プロデュース(トロント、2018.6.21