春日大社・平安の正倉院

春日大社は国宝352点、重要文化財971点の宝物と国宝四棟、重要文化財27棟の建造物を所有し、神社界でも屈指の文化財所有数を誇っています。

奈良時代の最高の文物は正倉院にあり、平安時代の最高の工芸品は春日大社だけに残されているものが数多くあることから、春日大社は「平安の正倉院」といわれています。

平安初期以来の春日詣の際、天皇や上皇、関白らが奉納された御神宝が現代まで伝えられています。

春日大社万燈籠 (撮影協力:春日大社 Photo by Miro Ito)

四社明神の起こり

8世紀の初め、平城京の守護と国民の繁栄をお祈りするため常陸国鹿島から、武(たけ)甕(みか)槌(づちの)命(みこと)を、都の東方の霊山御蓋山(みかさやま)の頂きにお迎えし、あわせて経津主命(ふつぬしのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、比売神(ひめがみ)をお祀りしました。

その後、神護景雲2年(768)に称徳天皇の命により現在地へ社殿が創建されたのが、春日大社の始まりです 。

(※出典:春日大社パンフレットより)

春日権現験記絵(春日一巻本)伝冷泉為恭筆  江戸時代・19世紀 春日大社蔵 平安時代後期の白河上皇による春日大社への行幸 (画像提供:春日大社)

春日行幸・春日詣

「春日詣」は、天皇・皇族と結びついた藤原氏長者(うじのちょうじゃ)が春日大社に詣でることをいい、917年、藤原忠平の参詣が最初とされています。

989年には、兼家の外孫・一条天皇の春日行幸の記録があり(『日本紀略』)、以降、天皇による行幸が行われるようになりました。

春日大明神の御加護に対する祭祀(さいし)が行われ、その都度、神宝や芸能をはじめ、神領が奉納されました。

春日宮曼荼羅 鎌倉〜南北朝時代 14世紀、  春日大社所蔵(撮影協力:春日大社 Photo by Miro Ito)

春日宮曼荼羅

京の都からは、春日詣を日々行えるよう、春日の神々と神域である御蓋山(別名:春日山)が描かれた「春日宮曼荼羅」が盛んに作られました。

古代や中世〜近世にわたる、時空を超えた「遠隔参拝」の先駆例といえ、春日山の神域の神々は、神仏習合信仰における本地仏(ほんぢぶつ)として描かれています。

春日宮曼荼羅(部分) 左から武甕槌命(釈迦如来)、経津主命(薬師如来)、天児屋根命(地蔵菩薩)、比売神(十一面観音)、若宮(文殊菩薩)

本地仏としての神々

神仏習合における本地垂迹(ほんじすいじゃく)の教えでは、第一殿の武甕槌命は釈迦如来または不空羂索観音、第二殿の経津主命は薬師如来、第三殿の天児屋根命は地蔵菩薩、第四殿の比売神は十一面観音、第五柱の若宮は文殊菩薩とされました。

本地垂迹説とは、奈良時代からの神仏習合が進んだ結果、平安時代以降の仏(本地)が衆生を救済するために、日本の神の姿になって顕われる(垂迹)という教えです。

鹿座神影図 室町時代 春日大社所蔵 (撮影協力:春日大社 Photo by Miro Ito)

春日鹿曼荼羅

春日社第一殿の祭神・武甕槌命が春日の地に降り立った光景が描かれています。
画面上部に瑞雲から聳える御蓋山の上空に満月を仰ぎ、祭神の姿は円相で象られています。

古くからの典型を継承した「鹿座神影図(春日鹿曼荼羅)」の図像は、南北朝以降には、鹿に乗る武甕槌命を描く「鹿島立神影図(かしまだちしんえいず)」に変化していきました。

鹿座仏舎利と外容器 1652年 江戸時代 春日大社所蔵 (撮影協力:春日大社 Photo by Miro Ito)

鹿座仏舎利

雲上に座す白鹿の鞍には、榊の木が立てられ、中央には円相の舎利器が安置されています。

円相で象られた祭神・武甕槌命の本地である釈迦を仏舎利で表したものです。鹿の背に装着された鞍は、武甕槌命が騎乗されることを暗示するもので、鹿曼荼羅と共通する図像です。

榊と一体化された藤の花房や紙垂(しで)も、鹿曼荼羅図の構成要素を踏襲しています。

外容器には、月を仰ぐ御蓋山が上部に描かれ、下側には群生する蓮の花々があしらわれています。興福寺の僧侶から、金剛経とともに、若宮に奉納されたものです。

春日大社案内
名称 春日大社
所在地 630-8212 奈良市春日野町160
TEL/FAX 0742-22-7788/0742-27-2114
URL http://www.kasugataisha.or.jp/
拝観時間 ○ 本社参拝 開門時間 06:3017:30

(11月~207:0017:00)
○国宝殿 10:0017:00(入館は16:30まで)
○萬葉植物園 09:0016:30

(12月~209:0016:00)

休日 ○国宝殿 年3回の展示替の時(各23日間)
○萬葉植物園 1212月の月曜日
拝観料 ○本社参拝は、回廊内特別参拝のみ有料(500円)
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【バリアフリー情報】
 スロープ:駐車場から内侍門の間の参道(※参拝所付近にはスロープなし)
 多目的トイレ:駐車場に有り
 車椅子の貸出:有

(※出典:奈良県観光公式サイト)

(※上記テキストは、2021年2月7〜14日オンライン公開・伊藤みろ講演「春日大社・平安の正倉院 シルクロードの秘宝」(主催:奈良県)を再構成したものです。)